過剰介護チェックリスト|あなたは手伝いすぎていませんか?

コラム
過剰介護チェックリスト|あなたは手伝いすぎていませんか?

過剰介護チェックリスト|あなたは手伝いすぎていませんか?

自立支援介護読了時間:約8分

「できるだけのことをしてあげたい」——その優しい気持ちが、実は本人の能力を奪っているかもしれません。

過剰介護とは、本人ができることまで介護者が代わりにやってしまうことです。善意から行っている行為が、実は本人の自立を妨げ、介護度を悪化させる原因になることがあります。本記事では、過剰介護に陥っていないかをチェックし、適切な支援のあり方を考えます。

過剰介護とは何か?

過剰介護とは、本人が自分でできることを、介護者が代わりにやってしまうことを指します。介護する側の「早く済ませたい」「失敗させたくない」「可哀想」という気持ちから生まれますが、長期的には本人の能力低下を招きます。

⚠️ 過剰介護の悪循環

本人ができることを代わりにやる → 本人が「やらなくていい」と思う → 能力が衰える → さらにできなくなる → 介護負担が増える

この悪循環に陥ると、本人の介護度は徐々に悪化し、介護者の負担も増大していきます。

過剰介護チェックリスト30項目

以下のチェックリストで、あなたの介護が過剰になっていないか確認してみましょう。当てはまる項目が多いほど、過剰介護の可能性が高くなります。

【食事場面】

自分で食べられるのに、全面的に食べさせている 時間がかかるからと、途中から食べさせてしまう 本人が自分で食べようとするのを止めて、代わりにやっている こぼすのが嫌で、本人に食べさせない 食べやすい工夫(自助具など)を試さず、すぐに食べさせている

【排泄場面】

トイレに行けるのに、オムツを常時使用している 本人がトイレに行きたいと言っても、時間がないからオムツにさせる 夜間だけでなく、日中もポータブルトイレを使わせている(トイレまで歩ける場合) 失禁を恐れて、本人の意思に関係なく頻繁にトイレに連れて行く

【移動・歩行場面】

転ぶのが怖いからと、歩けるのに常に車椅子を使っている 家の中でも、すべて車椅子で移動させている 本人が歩きたいと言っても、危ないからと止めている 歩行器や杖を使えば歩けるのに、試さずに車椅子にしている ベッドから車椅子への移乗を、本人が何もせずに全介助している

【着替え場面】

時間がかかるからと、すべて着替えさせている 本人が自分で着ようとするのを待たずに、すぐに手伝ってしまう 着やすい服(ボタンではなくマジックテープなど)を試さず、すべて介助している

【入浴場面】

自分で洗える部分があるのに、全身を洗ってあげている 時間短縮のため、本人に何もさせずに入浴介助している 浴槽に入れるのに、シャワーだけで済ませている(本人が浴槽を希望している場合)

【日常生活全般】

本人に何も聞かず、すべて介護者が決めている 「どうせできない」と決めつけて、やらせていないことがある 失敗させたくないから、挑戦させない 本人が「自分でやる」と言っても、「危ないから」と止める 時間がかかることは、すべて代わりにやってしまう できていたことが、最近できなくなっている(介護者が代わりにやるようになったため) 介護者が忙しくて、本人を待つ余裕がない 本人が何かしようとすると、「いいから座っていて」と言ってしまう リハビリや体操の時間を作らず、座りっぱなしにさせている 本人の「やりたい」という気持ちよりも、安全や効率を優先している

チェック結果の見方

0〜5個:適切な介護ができています

本人の自立を尊重した介護ができています。この調子で、見守りと最小限の支援を続けましょう。

6〜15個:やや過剰介護の傾向があります

一部で過剰な介護になっている可能性があります。チェックがついた項目について、本人ができることがないか再検討してみましょう。

16〜25個:過剰介護の状態です

多くの場面で、本人ができることを代わりにやってしまっている可能性が高いです。このままでは本人の能力低下が進みます。早急に介護方法の見直しが必要です。

26個以上:深刻な過剰介護です

ほぼすべてを代わりにやってしまっている状態です。本人の自立の機会が失われており、能力の急速な低下が懸念されます。ケアマネジャーや専門家に相談し、介護計画の全面的な見直しをお勧めします。

なぜ過剰介護になってしまうのか?

理由①:時間がない

仕事や家事で忙しく、本人を待つ時間的余裕がない。「早く済ませたい」という気持ちから、つい代わりにやってしまいます。

理由②:失敗させたくない

転倒や怪我、失禁などを恐れて、挑戦させることができません。「何かあったら大変」という不安が先に立ちます。

理由③:可哀想という気持ち

時間がかかって苦労する姿を見るのが辛く、「手伝ってあげたい」という優しさから、代わりにやってしまいます。

理由④:完璧主義

本人がやると完璧にできないため、自分でやった方が早いし綺麗だと感じてしまいます。

理由⑤:習慣化

最初は必要だった介助が、本人の状態が改善した後も続けてしまっています。

過剰介護から抜け出す5つのステップ

ステップ1:本人の「できること」をリスト化する

まずは、本人が今できていることを紙に書き出してみましょう。小さなことでも構いません。

  • 自分でスプーンを持てる
  • 手すりにつかまれば立てる
  • ボタン以外の服なら自分で着られる

ステップ2:「待つ時間」を作る

毎日少しずつでいいので、本人が自分でやる時間を設けましょう。最初は朝の着替えの時間を30分多めに確保するなど、小さな変化から始めます。

ステップ3:失敗を許容する環境を作る

転倒予防のため床にマットを敷く、こぼしても大丈夫なようにエプロンをつける——失敗しても大丈夫な環境を整えましょう。

ステップ4:「見守り」の練習をする

手を出したい衝動を抑えて、本人が自分でやるのを見守る練習をしましょう。「自分でやってみてください。困ったら言ってくださいね」と声をかけ、必要な時だけ手助けします。

ステップ5:小さな成功を一緒に喜ぶ

できたことは大いに褒めて、一緒に喜びましょう。成功体験が次への意欲につながります。

「過剰介護」と「必要な介助」の見極め方

「では、どこまで手伝えばいいの?」という疑問が生まれます。以下の基準で判断しましょう。

必要な介助とは

  • 本人が安全にできるための環境整備(手すりの設置など)
  • 本人ができない部分だけの最小限の手助け
  • 本人が「手伝って」と求めた時のサポート
  • 明らかに危険な時の見守りと声かけ

過剰介護とは

  • 本人ができることを代わりにやる
  • 本人が求めていないのに先回りして手伝う
  • 挑戦する機会を奪ってしまう
  • 時間や見た目を理由にすべてやってしまう

過剰介護をやめると起こる変化

本人に起こる変化

  • 表情が明るくなり、意欲が出てくる
  • 「自分でできた」という自信が生まれる
  • できることが少しずつ増えていく
  • 介護度が改善する可能性がある

介護者に起こる変化

  • 最初は時間がかかるが、徐々に介護負担が減る
  • 本人の笑顔が増え、介護のやりがいを感じる
  • 「やってあげなきゃ」というプレッシャーが減る
  • 本人との関係性が対等になり、尊重し合える

まとめ:「手伝いすぎない」勇気を持とう

過剰介護は、介護者の優しさから生まれます。しかし、本当の優しさとは、本人の「できる」を信じて待つことです。

まずはチェックリストで現状を把握し、できることから少しずつ変えていきましょう。本人が自分でやる姿を見守ることは、最初は辛く感じるかもしれません。しかし、その先には本人の笑顔と、「自分でできた」という誇りが待っています。

「手伝いすぎない」勇気を持つことが、本人の自立と尊厳を守ることにつながります。

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