
介護にかかる平均費用|月額いくら必要?
介護費用読了時間:約9分
「介護が必要になったら、いったいいくらかかるの?」——これは多くの方が抱く不安の一つです。
介護にかかる費用は、要介護度・利用するサービス・住む地域によって大きく異なります。また、介護保険で賄える部分と自己負担となる部分があり、その仕組みを理解することが重要です。本記事では、実際のデータを基に介護費用の実態と、費用を抑えるコツをご紹介します。
介護費用の全体像
介護にかかる費用は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
1. 介護保険サービス費
- 訪問介護・デイサービス・ショートステイなど
- 自己負担:1〜3割
- 月額上限あり(要介護度によって設定)
2. 介護保険外費用
- 食費・居住費(施設利用時)
- 日用品・理美容・交通費
- 全額自己負担
3. 家族の負担
- 介護のための仕事調整・離職
- 精神的・体力的負担
- 住宅改修・介護用品購入
要介護度別:月額費用の目安
2023年の生命保険文化センター調査を基にした、月額介護費用の実態をご紹介します。
在宅介護の場合
| 要介護度 | 介護保険サービス 自己負担額 | 介護保険外費用 | 月額合計 (平均) |
|---|---|---|---|
| 要支援1 | 3,000〜8,000円 | 15,000〜25,000円 | 2万〜3万円 |
| 要支援2 | 5,000〜15,000円 | 20,000〜35,000円 | 3万〜5万円 |
| 要介護1 | 8,000〜20,000円 | 25,000〜40,000円 | 4万〜6万円 |
| 要介護2 | 12,000〜25,000円 | 30,000〜45,000円 | 5万〜7万円 |
| 要介護3 | 18,000〜35,000円 | 40,000〜60,000円 | 6万〜9万円 |
| 要介護4 | 25,000〜40,000円 | 50,000〜70,000円 | 8万〜11万円 |
| 要介護5 | 30,000〜50,000円 | 60,000〜80,000円 | 9万〜13万円 |
施設入所の場合
| 施設種別 | 介護保険 自己負担額 | 居住費・食費 | その他費用 | 月額合計 |
|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム (多床室・所得段階第4段階) | 20,000〜25,000円 | 60,000〜80,000円 | 10,000〜20,000円 | 9万〜12万円 |
| 介護老人保健施設 (多床室・所得段階第4段階) | 22,000〜28,000円 | 70,000〜90,000円 | 10,000〜20,000円 | 10万〜14万円 |
| 有料老人ホーム (入居一時金なしタイプ) | 20,000〜30,000円 | 100,000〜200,000円 | 20,000〜50,000円 | 14万〜28万円 |
介護保険サービス費の詳細
月額利用限度額と自己負担
介護保険では、要介護度ごとに月額の利用限度額が設定されています。
| 要介護度 | 月額限度額 | 1割負担時の上限 | 2割負担時の上限 | 3割負担時の上限 |
|---|---|---|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
| 要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
| 要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
| 要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
| 要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
| 要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
| 要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
自己負担割合の決まり方
1割負担(一般)
- 本人の合計所得金額が220万円未満
- または同一世帯の65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」が単身で340万円未満、2人以上で463万円未満
2割負担(一定以上所得者)
- 本人の合計所得金額が220万円以上
- かつ同一世帯の65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」が単身で340万円以上、2人以上で463万円以上
3割負担(現役並み所得者)
- 本人の合計所得金額が220万円以上
- かつ同一世帯の65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」が単身で383万円以上、2人以上で520万円以上
介護保険外でかかる費用
在宅介護の場合
日用品・消耗品
- おむつ代:月5,000〜15,000円
- 栄養補助食品:月3,000〜8,000円
- 衛生用品:月2,000〜5,000円
住環境整備
- 介護ベッド・車椅子レンタル:月5,000〜15,000円
- 住宅改修(手すり設置など):一時的に10〜50万円
- 介護用品購入:年間5〜20万円
医療費
- 通院・往診:月5,000〜20,000円
- 薬代:月3,000〜10,000円
- 検査・治療費:月10,000〜30,000円
その他
- 配食サービス:月15,000〜40,000円
- 理美容サービス:月3,000〜8,000円
- 交通費:月2,000〜10,000円
施設入所の場合
居住費(1日あたり)
- ユニット型個室:1,970円
- 従来型個室:1,640円
- 多床室:377円
食費(1日あたり)
- 1,445円(標準負担額)
その他費用
- 理美容代:月2,000〜5,000円
- 日用品:月3,000〜8,000円
- 医療費:月5,000〜15,000円
- 嗜好品:月2,000〜10,000円
地域による費用差
介護サービスの費用は、地域によって異なります。
地域区分による単価の違い
| 地域区分 | 地域加算 | 該当地域(例) |
|---|---|---|
| 1級地 | +20% | 東京都特別区 |
| 2級地 | +16% | 横浜市、大阪市など |
| 3級地 | +15% | 札幌市、仙台市など |
| 4級地 | +12% | 千葉市、名古屋市など |
| 5級地 | +10% | 静岡市、京都市など |
| 6級地 | +6% | 新潟市、金沢市など |
| 7級地 | +3% | 青森市、秋田市など |
| その他 | ±0% | 上記以外の地域 |
介護期間と総費用
平均介護期間
- 平均介護期間:約5年1ヶ月
- 男性:約4年3ヶ月
- 女性:約5年7ヶ月
総介護費用の目安
要介護3で5年間在宅介護した場合
- 月額7万円 × 60ヶ月 = 420万円
特別養護老人ホームに5年間入所した場合
- 月額11万円 × 60ヶ月 = 660万円
有料老人ホームに5年間入所した場合
- 月額20万円 × 60ヶ月 = 1,200万円
- ※入居一時金別途
費用を抑える方法
1. 介護保険制度を最大限活用
- 高額介護サービス費:月の自己負担上限額を超えた分は払い戻し
- 住宅改修:20万円まで支給(自己負担1〜3割)
- 福祉用具購入:年間10万円まで支給(自己負担1〜3割)
2. 各種減免制度の活用
施設の居住費・食費の軽減
- 第1段階:生活保護受給者など
- 第2段階:本人年金収入80万円以下など
- 第3段階:本人年金収入120万円以下など
社会福祉法人等による利用者負担軽減
- 低所得者の介護保険サービス利用料を軽減
- 対象サービス利用料の25%軽減
3. 税制上の優遇措置
- 医療費控除:介護サービス費の一部も対象
- 障害者控除:要介護認定者は障害者控除対象者認定書で所得控除
- おむつ代控除:医師の意見書があれば医療費控除対象
4. 自治体独自の助成制度
- 介護用品支給事業
- 緊急通報システム
- 配食サービス補助
- 家族介護慰労金
介護費用の準備方法
1. 介護保険(民間)の活用
介護保険の種類
- 終身タイプ:一生涯保障、保険料高め
- 定期タイプ:一定期間保障、保険料安め
- 貯蓄タイプ:介護給付と死亡保障の両方
給付方式
- 一時金タイプ:まとまった金額を一括受給
- 年金タイプ:毎月決まった金額を受給
- 実損てん補タイプ:実際にかかった費用を補償
2. 資産活用
- リバースモーゲージ:自宅を担保に資金調達
- 不動産売却:住み替えによる資金確保
- 生前贈与:相続税対策と資金移転
3. 家族での費用分担
- 兄弟姉妹での費用分担ルール作り
- 介護する家族への経済的支援
- 将来の相続を踏まえた調整
まとめ:計画的な備えが重要
介護費用は決して安くありませんが、制度を正しく理解し、計画的に準備することで負担を軽減できます。
費用管理の5つのポイント
- 早めの情報収集:制度や費用の仕組みを理解する
- 制度の活用:利用できる支援制度を最大限活用する
- 適切なサービス選択:必要以上のサービスは利用しない
- 定期的な見直し:状況変化に応じてプランを調整する
- 長期的視点:介護期間全体を見据えた資金計画を立てる
「お金がないから良い介護は受けられない」と諦めるのではなく、利用できる制度を調べ、家族でしっかりと話し合って計画を立てることが大切です。

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