自立支援介護とは?従来の介護との3つの違い

コラム

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自立支援介護と従来の介護の比較

「介護が必要になったら、どんどんできないことが増えていく」——そんな常識を覆すのが自立支援介護です。

実は、介護が必要な状態になっても、適切な支援によって「できること」を増やし、介護度を改善させることは十分に可能なのです。本記事では、従来の介護と自立支援介護の根本的な違いを3つのポイントから解説します。

自立支援介護とは何か?

自立支援介護とは、介護を必要とする方の「残された能力」を最大限に活かし、できることを増やしていく介護の考え方です。

従来の介護が「できないことをお世話する」ことに重点を置いていたのに対し、自立支援介護は「できることを維持・向上させる」ことを目指します。つまり、介護する側の都合ではなく、介護される方の自立した生活と尊厳を最優先に考えるアプローチなのです。

💡 ポイント

自立支援介護の目標は「介護からの卒業」や「介護度の改善」です。実際に要介護3から要介護1へ、要介護2から要支援2へと改善した事例も数多く報告されています。

従来の介護との3つの違い

自立支援介護の3つの違い

違い①:目的とゴールの違い

従来の介護自立支援介護
できないことを代わりにやってあげるできることを自分でやれるよう支援する
現状維持・安全重視機能改善・自立促進
介護負担の軽減が目的本人の自立が目的

従来の介護では、「転ぶと危ないから」「時間がかかるから」という理由で、介護者がすべて代わりに行うことが当たり前でした。しかし自立支援介護では、たとえ時間がかかっても、できる限り本人にやってもらうことを重視します。

例えば、食事の場面で考えてみましょう。従来の介護では「食べさせてあげる」ことが中心でしたが、自立支援介護では「自分で食べられる工夫」を考えます。スプーンの柄を太くする、滑り止めマットを使う、姿勢を調整するなど、本人が自分で食べられる環境を整えるのです。

違い②:時間と過程への考え方

自立支援介護の大きな特徴は、「待つ介護」です。

従来の介護では効率性が重視され、「早く済ませること」が良いとされてきました。しかし自立支援介護では、本人のペースを尊重し、たとえ時間がかかっても自分でやり遂げることを優先します。

具体例:着替えの場面

  • 従来の介護:介護者が5分で素早く着替えさせる
  • 自立支援介護:本人が30分かけて自分で着替える(必要に応じて最小限の手助け)

最初は30分かかっていた着替えも、毎日続けることで20分、15分と短縮されていきます。そして何より、「自分でできた」という達成感が本人の意欲を高め、他の動作にも良い影響を与えるのです。

この「待つ」という行為は、介護者にとっては忍耐が必要です。しかし長期的に見れば、本人の能力が向上することで介護負担は確実に軽減されていきます。

違い③:結果への期待値

最も大きな違いは、介護状態の変化に対する考え方です。

従来の介護の考え方

「加齢や病気により、できないことは増えていくもの」
「介護度は悪化するのが当たり前」
「現状維持できれば上出来」

自立支援介護の考え方

「適切な支援により、できることは増やせる」
「介護度は改善できる」
「機能回復と自立を目指す」

従来の介護では、介護が必要になった時点で「できないことが増えていく」ことを前提としていました。そのため、予防や改善ではなく、いかに安全に現状を維持するかが焦点でした。

一方、自立支援介護では「介護状態は改善できる」という前提に立ちます。実際に、適切な自立支援により介護度が軽減した事例は全国で数多く報告されています。

なぜ今、自立支援介護が注目されているのか?

1. 本人の尊厳を守る

誰もが「人の世話になりたくない」「自分のことは自分でやりたい」と願っています。自立支援介護は、この当然の思いを尊重し、本人の尊厳ある生活を実現します。

2. 介護負担の軽減

「すべて代わりにやってあげる」介護は、一見優しく見えますが、実は介護者の負担を増大させます。本人ができることが増えれば、介護者の身体的・精神的負担は確実に軽くなります。

3. 介護費用の削減

介護度が改善されれば、利用できるサービスの限度額は下がりますが、実際に必要なサービスも減るため、トータルの自己負担は軽減されることがほとんどです。

4. 社会全体の介護負担軽減

高齢化社会において、介護保険財政の逼迫は深刻な問題です。自立支援介護の普及により、一人ひとりの介護度が改善されれば、社会全体の介護負担軽減にもつながります。

自立支援介護を始めるための第一歩

自立支援介護は決して難しいものではありません。以下の3つのポイントを意識するだけで、今日から始められます。

今日から始める3つのステップ

  1. 「できないこと」ではなく「できること」に注目する
    まずは本人が今できていることをリストアップしてみましょう。小さなことでも構いません。
  2. 手を出したくなるのを我慢して「待つ」
    本人が自分でやろうとしている時は、危険がない限り見守りましょう。時間がかかっても大丈夫です。
  3. できたことを一緒に喜ぶ
    小さな成功でも、大いに褒めて一緒に喜びましょう。「できた」という実感が次の意欲につながります。

まとめ:介護の常識を変える勇気を

自立支援介護は、「介護が必要になったら、どんどんできないことが増える」という常識を変えるアプローチです。

従来の介護との違いは、①目的(代わりにやるのではなく、自分でやれるよう支援)、②過程(待つ介護)、③結果への期待(改善を目指す)の3点です。

最初は時間も手間もかかるかもしれません。しかし、本人の笑顔と「自分でできた」という喜びは、何物にも代えがたい価値があります。そして長期的には、介護者の負担軽減にもつながるのです。

まずは小さな一歩から。今日から「できること」に注目する自立支援介護を始めてみませんか?

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